玄海はぐれ船

※　日焼けたこぶしの　この中にゃ
　　いつもあいつの　顔がある
　　傍にいるだろ　なぁおまえ
　　明日を生きるさ　玄海はぐれ船

二　時化に背いて　漕ぎ出す俺の
　　合羽袖引く　孫可愛い
　　凪の日待って　いるだけじゃ
　　生きちゃ行けない　漁師道
※　この身削ぐよな　海だけど
　　行っておいでと　肩たたき
　　俺を見送る　影がある
　　守ってくれるか　玄海はぐれ船

一　あんた一人じゃ　心配だよと
　　潮に揉まれた　五十年
　　愚痴さえ言わぬ　細腕と
　　幾度凌いだ　荒波を
　　漁場探しの　山立ては
　　他人にゃ負けない　俺だけど
　　舵が重たい　この頃さ
　　小突いてくれるか　玄海はぐれ船